確定申告ライン・住民税・増える税金を1分で見える化

副業を申告しないとどうなる
——無申告加算税・延滞税と税務署にバレる経路【2026年版】

公開日:2026年8月3日 | 最終更新:2026年8月31日

無申告加算税とは、法定申告期限までに確定申告をしなかった場合に本来の税額へ上乗せして課される附帯税で、税務調査を受けてからの期限後申告では納付税額のうち50万円までの部分に15%、50万円を超え300万円以下の部分に20%、300万円を超える部分に30%の税率が適用されます(国税庁タックスアンサーNo.2024)。ただし「では実際にいくら上乗せされるのか」を試算してみると、多くの副業会社員が想像する金額とはかなり違う結果になります。この記事では税率の仕組みを整理したうえで、当サイトのシミュレーターと同じ計算式で本業年収別に上乗せ額を計算した結果と、延滞税の割合をめぐる読み違いやすい点を、国税庁の公表資料と国税通則法の条文に基づいて解説します。

この記事の要点
  • 税務調査の事前通知前に自主的に期限後申告をすれば無申告加算税は一律5%だが、調査を受けてからでは50万円までの部分に15%、300万円超の部分に30%の税率がかかる(国税庁タックスアンサーNo.2024)
  • 延滞税の高い割合(令和8年は年9.1%)が適用されるのは「納期限の翌日から2か月経過後」で、期限後申告の納期限は「申告書を提出した日」。申告と同時に納付すれば全期間が低い割合(年2.8%)になる(国税庁タックスアンサーNo.9205)
  • 加算税は確定額が5,000円未満なら全額切捨て、延滞税は1,000円未満なら全額切捨て(国税通則法119条4項)。当サイトの試算では、本業500万円・副業所得50万円の人が1年後に自主申告した場合の上乗せは1,100円、同じ条件で調査を受けてからだと7,100円だった
  • 法定申告期限から1か月以内に自主的に申告し、税額の全額を法定納期限(3月15日)までに納付していれば、過去5年間に無申告加算税等を課されたことがない限り無申告加算税は課されない(国税庁タックスアンサーNo.2024)
この記事でわかること
  1. 上乗せは「加算税」と「延滞税」の二重構造
  2. あなたはいまどの段階?——タイミングで税率が3段階に変わる
  3. 延滞税は「2か月で9.1%」ではない——納期限の読み方
  4. 当サイト試算:1年放置すると実際いくら上乗せされるのか
  5. 無申告加算税がまったく課されない条件
  6. 副業の無申告はどこから税務署に伝わるのか
  7. よくある誤解の訂正
  8. 隠す・偽ると重加算税40%になる

上乗せは「加算税」と「延滞税」の二重構造

副業の所得を確定申告しないまま放置すると、本来納めるべき税額に「無申告加算税」と「延滞税」の2つが上乗せされます。無申告加算税は「申告をしなかったこと」自体に対する制裁的な性格の附帯税で、延滞税は「納付が遅れたこと」に対する利息に近い性格の附帯税です。両方とも本税とは別に計算され、原則として両方が同時にかかります。

副業の所得が20万円以下で所得税の確定申告が不要なケースは、この無申告加算税の対象にはなりません。無申告加算税が問題になるのは、本来申告・納税が必要だったのに行わなかった場合です。20万円ルールの判定自体は副業の20万円ルール完全ガイドで解説しています。

あなたはいまどの段階?——タイミングで税率が3段階に変わる

無申告加算税の税率は「いつ、どういう経緯で期限後申告に至ったか」で決まります。まず自分がどの段階にいるかを確認してください。

いまの状況あなたに適用される区分すぐ取るべき行動
申告期限(3月15日)からまだ1か月経っていない要件を満たせば無申告加算税なしすぐ申告。税額は法定納期限(3月15日)までに納付していることが要件のため、納付も直ちに行い、あわせて口座振替の取扱いを税務署に確認する
期限は過ぎたが、税務署から何の連絡も来ていない自主的な期限後申告=5%連絡が来る前に自分から申告する。この段階が最も税率が低い
税務署から調査の事前通知が届いた10%/15%/25%(金額区分別)調査を受ける前に期限後申告をすれば、調査後より税率が下がる
すでに税務調査を受けた/決定処分を受けた15%/20%/30%(金額区分別)最も重い区分。指摘に沿って速やかに申告・納付する

金額区分別の税率は次のとおりです(令和6年1月1日以後に法定申告期限が到来する国税=令和5年分の所得税から適用。国税庁タックスアンサーNo.2024)。

申告のタイミング納付税額50万円までの部分50万円超300万円以下の部分300万円を超える部分
税務調査の事前通知が来る前に自主的に期限後申告一律 5%
事前通知後・調査を受ける前に期限後申告10%15%25%
税務調査を受けて期限後申告・決定処分15%20%30%
期限後申告等に係る年分の前年および前々年の所得税について無申告加算税または重加算税を課されたことがある(あるいは課されるべきと認められる)場合は、上記の税率に10%が上乗せされます。この加重措置も令和6年1月1日以後に法定申告期限が到来するものから適用されています。「前年・前々年」が対象であり、免除要件のほうの「過去5年間」とは別の話です(国税庁タックスアンサーNo.2024)。副業を続けながら無申告を繰り返すと、2年目以降に効いてくるのはこの加重措置です。

延滞税は「2か月で9.1%」ではない——納期限の読み方

延滞税は法定納期限の翌日から実際に納付する日まで、日数に応じて自動的に計算されます。割合は次の2段階です。

期間納期限までの期間+納期限の翌日から2か月を経過する日まで納期限の翌日から2か月を経過した日以後
令和8年(2026年)1月1日〜12月31日年2.8%年9.1%
令和4年〜令和7年(2022〜2025年)年2.4%年8.7%

ここで読み違えやすいのが「納期限」の意味です。国税庁タックスアンサーNo.9205の注記では、納期限は期限内に申告された場合は法定納期限、期限後申告または修正申告の場合は「申告書を提出した日」、更正・決定の場合は通知書を発した日から1か月後の日、と定められています。

つまり期限後申告では、申告書を出した日が納期限になります。その日に税額を全額納付すれば、法定納期限(所得税では申告期限と同じ3月15日)の翌日から納付日までの期間はすべて「納期限までの期間」として低いほうの割合(令和8年なら年2.8%)で計算されます。年9.1%が効いてくるのは、期限後申告をした後、さらに2か月を超えて納めなかった場合です。「放置した期間の後半は年9.1%で膨らむ」という説明を見かけますが、申告と同時に納付するかぎりそうはなりません。
延滞税の割合は各年について財務大臣の告示に基づいて決まるため、2027年(令和9年)以降の割合はまだ公表されていません。この記事の試算は、令和8年の割合(年2.8%/年9.1%)がその後も続くと仮定した概算です。

当サイト試算:1年放置すると実際いくら上乗せされるのか

ここからは当サイトのシミュレーターと同じ計算式(国税庁の速算表・令和8年分の基礎控除・給与所得控除)で、副業を無申告のまま1年放置した場合の上乗せ額を計算します。会社員は本業の給与から所得税が源泉徴収され年末調整も済んでいるため、期限後申告で新たに納付すべき税額=副業所得によって増える所得税(+復興特別所得税)になります。これが加算税・延滞税の計算の基礎です。

本業年収 × 副業所得別:自主申告と調査後でここまで差がつく

2026年分の副業所得を申告せず、1年後の2028年3月15日に期限後申告して同日に納付したと仮定した試算です。

本業の年収副業の所得本税(増える所得税)自主的に申告した場合の上乗せ調査を受けてからの上乗せ差額
400万円30万円15,400円0円0円0円
400万円50万円25,600円0円0円0円
400万円100万円60,800円1,600円10,600円9,000円
500万円30万円22,700円0円0円0円
500万円50万円43,100円1,100円7,100円6,000円
500万円100万円94,200円2,500円16,000円13,500円
700万円30万円61,300円1,600円10,600円9,000円
700万円50万円102,100円7,800円17,800円10,000円
700万円100万円204,200円15,600円35,600円20,000円

試算の条件:本業は給与のみ、副業は雑所得で経費0円、社会保険料は本業年収×14.5%、その他の所得控除なしの単身会社員。2026年(令和8年)分。上乗せ額は無申告加算税+延滞税で、本税・住民税は含みません。加算税・延滞税は国税通則法118条3項・119条4項の端数処理を反映しています。

読み取れるのは2つです。①同じ放置期間でも、自分から申告するか調査を受けてからかで上乗せが数千円〜2万円変わる。②本業700万円・副業所得100万円の人でも、1年放置した上乗せは35,600円(本税204,200円の約17%)で、「30%取られる」といった数字より実際は小さい。ただし本税と住民税は当然に発生し、放置しても消えません。上の表で本業400万円・副業所得100万円と本業700万円・副業所得30万円の本税がほぼ同じなのは、後者が基礎控除67万円の区分に入っており税率も高いためです(シミュレーターで自分の条件を確認できます)。

気づくのが早いほど安い:本業500万円・副業所得50万円のケース

本税43,100円(上の表の中央のケース)で、気づいたタイミングと納付の仕方だけを変えて計算しました。

いつ・どうしたか無申告加算税延滞税上乗せ合計
4月15日までに自主申告し、税額は3月15日までに納付済み0円(免除規定)0円0円
4月15日に自主申告し、同日に納付0円(5%だが5,000円未満で切捨て)0円(1,000円未満で切捨て)0円
6か月後(9月15日)に自主申告し、同日に納付0円(同上)0円(同上)0円
1年後(2028年3月15日)に自主申告し、同日に納付0円(同上)1,100円1,100円
1年後に税務調査を受けて期限後申告し、同日に納付6,000円(15%)1,100円7,100円
1年後に申告したが、さらに1年納付しなかった6,000円(15%)4,300円10,300円

条件は前表と同じ。延滞税は令和8年の割合が継続すると仮定し、法定納期限(2027年3月15日)の翌日から納付日までの日数で計算。最終行のみ、申告日から2か月経過後の期間に年9.1%を適用しています。

最終行だけ延滞税が跳ね上がっているのが、前の章で説明した年9.1%の正体です。申告と納付を同じ日にできれば、放置した期間が長くても延滞税は低い割合のままで済みます。「お金が用意できてから申告しよう」と先延ばしにするより、申告と納付をセットで早く済ませるほうが有利です。

少額なら加算税・延滞税が「0円」になることがある(端数処理)

上の表で0円が並ぶのは、附帯税に法律上の端数処理があるためです。国税通則法の条文で確認できます。

これは「少額なら申告しなくてよい」という意味では決してありません。本税(所得税)と住民税は端数処理とは関係なく発生し、申告義務そのものもなくなりません。住民税は国税ではないため無申告加算税の対象外ですが、地方税法と各自治体の条例に基づく不申告加算金・延滞金が別に定められています。また前年・前々年に無申告加算税等を課されていれば税率に10%が加重されるため、無申告を続けるほど不利になります。
自分の副業所得だと、本税はいくら?
副業の税金シミュレーターで無料計算する
本業年収・副業のタイプ・収入と経費を入力するだけで、申告の要否と増える所得税・住民税を1分で診断。登録不要。上の試算と同じ計算式を使っています。

無申告加算税がまったく課されない条件

次の条件をすべて満たす場合は、期限後申告であっても無申告加算税は課されません(国税庁タックスアンサーNo.2024)。

見落とされがちなのが2つ目です。納付の期限は「1か月以内」ではなく法定納期限=3月15日なので、4月に申告して同時に納付した場合は原則としてこの免除規定を使えません(口座振替の手続をしている場合を除く)。ただし前章のとおり、税額が小さければ5%を計算しても5,000円未満で切り捨てられ、結果的に0円になることがあります。

副業の無申告はどこから税務署に伝わるのか

副業の所得は「黙っていれば分からない」ものではありません。主に次の3つの経路から把握される可能性があります。

「バレない方法」を保証する制度はありません。上記はいずれも制度上の仕組みとして把握される可能性がある経路であり、実際に発覚するかどうかは個別の事情によります。副業の所得が20万円を超える場合は所得税の確定申告、20万円以下でも住民税の申告が必要です。副業の住民税申告のやり方もあわせてご確認ください。

よくある誤解の訂正

よくある理解実際は
放置した期間の後半は延滞税が年9.1%で膨らむ期限後申告の納期限は「申告書を提出した日」。申告と同時に全額納付すれば、法定納期限の翌日から納付日までの全期間が低い割合(令和8年は年2.8%)で計算されます(国税庁No.9205注1)
延滞税は加算税にもかかるので雪だるま式に増える「延滞税は本税だけを対象として課されるものであり、加算税などに対しては課されません」(国税庁No.9205)。加算税に利息はつきません
税務署から通知が来てから申告しても同じ事前通知の前か後かで税率が5%と10%(50万円超は15%・25%)に分かれ、調査を受けた後はさらに15%〜30%になります。連絡が来る前の自主申告が最も軽い区分です
副業が赤字でも無申告加算税が心配無申告加算税は「納付すべき税金」に税率を乗じて計算するため、納付すべき税額が生じなければ課されません。ただし住民税の申告は別途必要です(副業がまだ稼げていない場合の確定申告
所得20万円以下なら何の手続きもいらない不要になるのは所得税の確定申告だけで、住民税の申告は必要です。20万円ルールの正確な判定はこちらの記事で解説しています

隠す・偽ると重加算税40%になる

ここまでは「うっかり申告を忘れた」場合の話です。売上を隠す、架空の経費を計上するなど、課税標準等の計算の基礎となる事実を隠蔽または仮装して申告しなかった場合は、無申告加算税に代えて重加算税(税額の40%)が課されます(国税通則法68条2項)。さらに、過去に無申告加算税等を課されたことがあるなど一定の場合には、これに10%が加算されます(同条4項)。

所得を正しく下げる方法は「実際にかかった必要経費を適正に計上すること」だけです。経費の考え方と家事按分の計算は副業の経費と家事按分の記事で、帳簿を付けて事業所得を目指す場合の条件は雑所得と事業所得の違いの記事で解説しています。売上を隠す行為は節税ではなく脱税です。

気づいてしまった人が次にやることは決まっています。確定申告のやり方5ステップの手順どおりに、期限後申告として申告書を作り、提出したその日に納付してください。ここまでの試算のとおり、それが上乗せを最小にする方法です。

まとめ

この記事は2026年8月31日時点の制度に基づく一般的な解説であり、個別の税額計算や発覚の可能性を保証するものではありません。実際の申告・納税については所轄の税務署または税理士にご確認ください。