確定申告ライン・住民税・増える税金を1分で見える化

副業がまだ稼げていない場合の確定申告
——赤字は節税にならない【2026年版】

公開日:2026年8月13日 | この記事は2026年8月時点の制度に基づいています

この記事を書いている立場について。私は会社員をしながら、個人でこのサイトのような公的制度の計算ツールをいくつか作って公開しています。ただし現時点で広告は掲載しておらず、収入はまだ発生していません。かかっているのはドメイン代(1サイトあたり年1,400円程度)が中心で、要するに「売上ゼロ、経費だけ出ている副業1年目」という状態です。
このとき最初にぶつかったのが「稼げていないのに確定申告は必要なのか」「経費だけ出ているなら本業の税金が戻るのでは」という2つの疑問でした。調べた結果、2つ目は完全に勘違いだったので、同じ状況の人向けに国税庁の資料で確認した内容を整理します。
結論
  • 赤字(または所得20万円以下)なら、所得税の確定申告は不要
  • ただし住民税の申告は、赤字でも必要
  • 雑所得の赤字は本業の給与と相殺できない。「副業の赤字で節税」は雑所得では成立しない
  • それでも経費の記録は必須。黒字化したときの20万円ライン判定に直接効いてくる

「赤字だから申告しなくていい」は所得税については正しい

副業をしている会社員が確定申告を求められるのは、給与以外の所得の合計が20万円を超えたときです(国税庁 タックスアンサーNo.1900)。ここでポイントになるのは、判定に使うのが「収入」ではなく「所得」=収入から必要経費を引いた金額だという点です。

売上が5万円、経費が3万円なら所得は2万円。売上が3万円、経費が5万円なら所得はマイナスなので、当然20万円以下です。したがって赤字の年は所得税の確定申告義務は生じません

ただし副業がアルバイト(給与)の場合は判定が「収入金額」で行われ、経費を引くという考え方がありません。この記事は副業が雑所得・事業所得になるケース(受託開発、コンテンツ販売、広告収入など)を前提にしています。給与の場合は副業がアルバイトの場合の税金をご覧ください。

一方で、住民税の申告は赤字でも必要

ここが見落としやすいところです。20万円ルールは所得税に関する規定で、住民税には同じ免除規定がありません。所得税の確定申告をしない場合、住民税については別途、市区町村へ申告する必要があります。

「赤字なら申告する内容がないのでは」と思いましたが、赤字であることを申告することに意味があります。自治体はあなたの副業の収支を把握していないため、申告がないと状況が確認できません。具体的な手続きは副業の住民税申告のやり方にまとめています。

私が勘違いしていたこと:「副業の赤字で本業の税金が戻る」は雑所得では成立しない

調べる前、私はこう考えていました。「経費が売上を上回っているなら、その赤字分を本業の給与所得から引けるはずだ。そうすれば源泉徴収された所得税が戻ってくる」——これは雑所得の場合、完全に間違いです

複数の所得の黒字と赤字を相殺する仕組みを損益通算といいますが、国税庁の説明(タックスアンサーNo.2250)では、対象となる所得が次の4つに限定されています。

そして同じページには、給与所得や雑所得の計算上で損失が生じることはあっても、その損失を他の所得から控除することはできないと明記されています。つまり雑所得で赤字を出しても、本業の給与の税金は1円も減りません。

ネット上には「副業の赤字で節税できる」という情報が少なくありませんが、その多くは事業所得を前提にした話です。自分の副業がどちらに区分されるかを確認しないまま真似すると、成立しない前提で計画を立てることになります。

では帳簿を付けて事業所得にすればいいのか

ここも調べました。令和4年10月の国税庁の通達改正(所得税基本通達35-2)とその解説によると、事業所得か雑所得かは「その活動が社会通念上事業と称するに至る程度で行っているか」で判定するのが原則で、取引を帳簿書類に記録し、記録した帳簿書類を保存している場合には、概ね事業所得に区分されると整理されています。当初の改正案は「収入300万円以下は原則雑所得」でしたが、7,000件を超える意見を受けて修正された経緯があります。

ただし帳簿があれば無条件というわけではなく、解説には次の2つのケースでは事業と認められるかを個別に判断すると明記されています。

個別判断になるケース国税庁の解説に示された目安
収入金額が僅少と認められる場合収入金額が例年300万円以下で、主たる収入に対する割合が10%未満(「例年」は概ね3年程度の期間)
営利性が認められない場合例年赤字で、かつ赤字を解消するための取組を実施していない場合

自分の状況に当てはめると、収入はゼロなので「主たる収入の10%未満」に明確に該当します。つまり仮に帳簿を付けても、事業所得として認められるかは個別判断になる段階です。そもそもこの通達改正は「赤字を作って給与と損益通算する」という使い方が議論の発端だったので、その目的で事業所得を選ぶという発想自体が筋の悪い話だと理解しました。

1つ補足しておくと、表の2つ目「営利性が認められない場合」の条件について、解説では収入を増加させる、あるいは所得を黒字にするための営業活動等を実施していない場合と定義されています。つまり赤字であること自体が問題なのではなく、黒字化に向けて何もしていない状態が問題視されるという整理です。
いずれにしても、副業を始めた最初の数年は雑所得として扱い、赤字は赤字として受け入れるのが現実的だと考えています。事業所得への切り替えを検討するのは、収入が継続的に伸びて「事業といえる規模」に近づいてからです。

稼げていない今、実際にやっていること

税金の手続きは発生しませんが、放置していいわけではないと考えて、次の4つだけ続けています。

特に1つ目は、赤字のうちは意味がないように見えて、実は一番効きます。黒字化した年に「経費をいくら計上できるか」で申告義務の有無が変わり、税額も変わるからです。

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参考・出典

この記事は2026年8月時点の制度に基づく一般的な解説であり、個別の税務相談ではありません。所得区分の判定や申告の要否は個々の状況で変わるため、判断に迷う場合は税務署または税理士にご確認ください。