確定申告ライン・住民税・増える税金を1分で見える化

副業の20万円ルール完全ガイド
|「収入」と「所得」の違いで申告の要否が変わる【2026年版】

公開日:2026年7月21日 | 最終更新:2026年8月22日

20万円ルールとは、給与を1か所から受けていて年末調整を受けた会社員は、給与所得・退職所得以外の各種所得金額の合計が年20万円以下であれば所得税の確定申告が不要になる取り扱いです(国税庁タックスアンサーNo.1900)。ただし副業が業務委託やネット収入なのか、アルバイトなどの給与なのかによって「20万円」を計算するときの基準(所得か、収入そのままか)が変わります。この記事では判定の仕組みを整理したうえで、同じ副業収入24万円が区分と経費でいくら違う結果になるのかを、当サイトのシミュレーターと同じ計算式で試算しました。判定では不利に見える給与副業のほうが、税額では軽くなることがある——という結果も出ています。

この記事の要点
  • 業務委託・フリマ・アフィリエイトなど雑所得・事業所得の副業は、収入から必要経費を引いた「所得」が20万円以下かどうかで判定する
  • 副業がアルバイト・パートなど給与の場合は、2か所目の給与の「収入金額」(経費控除なしの額面)を他の所得と合算して20万円判定を行う(国税庁No.1900)
  • 【当サイト試算】本業年収500万円・副業収入24万円で比べると、雑所得(経費0円)の税負担は40,600円、2か所目の給与なら30,900円。判定では不利な給与副業のほうが税額は9,700円軽い(給与所得控除が自動的に効くため)
  • 2か所以上から給与がある人でも、給与収入から一定の所得控除を引いた額が150万円以下で他の所得が20万円以下なら申告不要——見落とされやすい特例がある
  • 20万円ルールは所得税の確定申告の特例であり、住民税には適用されないため、20万円以下でも住民税の申告は別途必要
この記事でわかること
  1. そもそも誰が使える特例なのか(国税庁No.1900の3つの条件)
  2. 業務委託・ネット収入は「所得」で判定——経費率で収入の上限はどこまで伸びるか
  3. 副業がアルバイトだと、なぜ「収入」で判定されるのか
  4. 【当サイト試算】同じ副業収入24万円で、税金はいくら違うのか
  5. あなたはどれに当てはまる?——判定チャート
  6. 見落としやすい「150万円」の特例
  7. 20万円ルールをめぐる5つの誤解
  8. 20万円以下でも、あえて申告したほうが得になるとき
  9. 住民税に20万円ルールはない

そもそも誰が使える特例なのか——国税庁No.1900の3つの条件

会社員は勤務先の年末調整によって所得税の精算が完了するため、本来なら確定申告をしなくても納税が完結します。しかし副業などで給与以外の所得があると、その分の税額が年末調整には反映されていません。そこで国税庁は、給与所得者のうち確定申告が必要になる人を条件で区切っており、そこから外れた人は申告をしなくてよい——という組み立てになっています(国税庁タックスアンサーNo.1900「給与所得者で確定申告が必要な人」)。副業に関係するのは次の3つです。

No.1900の条件内容副業をしている人への意味
(1) 高額給与給与の年間収入金額が2,000万円を超える人副業の額に関係なく確定申告が必要。20万円ルールは使えない
(2) 給与が1か所給与1か所・全部が源泉徴収の対象で、給与所得・退職所得以外の各種の所得金額の合計が20万円を超える副業が業務委託・ネット収入などの場合。「所得金額」=収入−必要経費で判定する
(3) 給与が2か所以上給与2か所以上・全部が源泉徴収の対象で、年末調整されなかった給与の収入金額と各種の所得金額との合計が20万円を超える人副業がアルバイト・パートの場合。給与部分は「収入金額」のまま足す

つまり「20万円ルール」という単一の規定があるわけではなく、(2)と(3)のどちらに当てはまるかで20万円に何を当てはめて数えるかが変わるのが実態です。ここを読み違えると結論が逆になります。

20万円ルールはあくまで「申告しなくてよい」という所得税の手続き上の特例です。副業でいくら税金が増えるか自体を知りたい場合は、副業の税金シミュレーターで本業年収と副業の収支を入力すると、申告の要否と増える税額をまとめて確認できます。

業務委託・ネット収入は「所得」で判定——経費率で収入の上限はどこまで伸びるか

業務委託の報酬、ネット物販、アフィリエイト収入など、給与ではない形で得る副業収入は雑所得または事業所得に区分されます。この場合の20万円判定は、収入から必要経費を差し引いた後の「所得金額」で行います。したがって収入が20万円を超えていても、必要経費を引いた所得が20万円以下になれば、20万円ルールの対象内(=所得税の申告不要)となる余地があります。

では経費がいくらかかっていると、収入はどこまでなら所得20万円以内に収まるのか。20万円 ÷(1 − 経費率)で求められます。

収入に対する経費の割合所得20万円ちょうどになる副業収入この収入までなら所得税の申告不要
0%(経費なし)200,000円20.0万円
10%222,222円22.2万円
20%250,000円25.0万円
30%285,714円28.5万円
40%333,333円33.3万円
50%400,000円40.0万円
この表は「経費を積めば申告を避けられる」という話ではありません。ここで引ける経費は実際に支出があり、その副業のために必要だったものだけです。かかっていない経費を計上したり売上を除外したりすれば、所得を下げるどころか脱税になります。何がどこまで経費になるかは副業の経費と家事按分の記事で費目別に整理しています。

副業がアルバイトだと、なぜ「収入」で判定されるのか

副業がアルバイトやパートなど2か所目の給与として支払われる場合は、上の表の(3)が適用されます。給与部分については年末調整されなかった給与の収入金額をそのまま他の所得と合算して20万円と比べます。

雑所得のように必要経費を差し引く計算はありません。給与所得控除を引いた後の「所得」でもなく、控除前の「収入」で比較します。給与所得控除は勤務先ごとに配分されるものではなく年間の給与収入の合計に対して1回だけ計算されるため、2か所目の給与だけを取り出して「所得」を出すことができない——という所得税の構造上の理由によるものです。

副業の形態20万円判定に使う金額経費・控除の扱い
業務委託・フリーランス(雑所得・事業所得)収入 − 必要経費 = 所得実際にかかった経費を引ける
ネット物販・アフィリエイト(雑所得・事業所得)収入 − 必要経費 = 所得同上(仕入原価も含む)
副業アルバイト・パート(2か所目の給与)年末調整されなかった給与の収入金額判定の段階では何も引けない

所得区分そのものの分かれ目(どこまでが雑所得で、どこからが事業所得か)については雑所得と事業所得の判定基準の記事、2か所給与の年末調整と源泉徴収票の扱いは副業アルバイトで給与が2か所になる場合の記事で詳しく扱っています。

【当サイト試算】同じ副業収入24万円で、税金はいくら違うのか

ここまでは判定の話です。では実際の税額はどうなるのか。「経費を引けない給与副業は不利」と説明されることが多いのですが、税額まで計算してみると話が変わります。当サイトのシミュレーターと同じ計算式(国税庁の速算表・令和8年度税制改正後の基礎控除と給与所得控除・住民税所得割10%)で、本業年収500万円・副業収入24万円に固定し、区分と経費の組み合わせだけを振って試算しました。

副業の区分と経費20万円判定に使う額判定増える所得税増える住民税税金の合計収入から経費と税を引いた残り
雑所得・経費0円24.0万円超(申告必要)16,600円24,000円40,600円199,400円
雑所得・経費2.4万円(10%)21.6万円超(申告必要)14,100円21,600円35,700円180,300円
雑所得・経費4.8万円(20%)19.2万円以下(申告不要)0円19,200円19,200円172,800円
雑所得・経費7.2万円(30%)16.8万円以下(申告不要)0円16,800円16,800円151,200円
2か所目の給与・24万円24.0万円超(申告必要)11,700円19,200円30,900円209,100円

※申告不要を選んだ場合の金額です。任意で確定申告をした場合、経費4.8万円のケースは所得税11,700円、経費7.2万円のケースは9,200円が発生します。条件:単身の会社員・社会保険料は本業年収の14.5%(72.5万円)で概算・扶養控除やiDeCoなどその他の控除なし・住民税は所得割のみ(均等割は副業の有無で変わらないため除外)。

いちばん税金が軽いのは経費7.2万円のケースですが、手元に残る額がいちばん多いのは「2か所目の給与」です。経費は実際の支出なので、税金が減っても財布は軽くなります。「税金の合計」と「残る額」は別の指標として見てください。

判定では不利な給与副業が、税額では有利になる理由

上の表で注目したいのは、雑所得で経費を4.8万円(20%)計上したケースと、2か所目の給与24万円のケースが、まったく同じ課税所得になっている点です。どちらも合計所得金額に加わるのは19.2万円で、任意申告した場合の所得税も同額の11,700円、住民税も同額の19,200円です。

理由は給与所得控除です。本業年収500万円の人が2か所目の給与24万円を得ると、年間の給与収入は524万円になります。給与収入660万円以下の帯では給与所得控除が「収入×20%+44万円」なので、増えた24万円のうち20%(4.8万円)が自動的に控除され、給与所得の増加は19.2万円で止まります。給与副業には、経費の領収書を集めなくても収入の20%相当が引かれる「みなし経費」のような効果があるわけです。

ただしこの効果の大きさは本業年収で変わります。同じ副業収入24万円・経費0円で本業年収だけを振ってみると、次のようになりました。

本業の年収雑所得24万円
(経費0円)の税金
2か所目の給与
24万円の税金
給与副業で合計所得に
加わる額
300万円36,200円25,300円10,900円 軽い16.8万円(控除30%)
400万円36,300円29,000円7,300円 軽い19.2万円(控除20%)
500万円40,600円30,900円9,700円 軽い19.2万円(控除20%)
600万円48,600円38,900円9,700円 軽い19.2万円(控除20%)
700万円73,000円65,700円7,300円 軽い21.6万円(控除10%)
1,000万円73,000円73,000円差なし24.0万円(控除なし)

本業年収が850万円に達すると、この差は消えます。給与所得控除は給与収入850万円で195万円の上限に達して増えなくなるため、そこから先の人が2か所目の給与を得ても控除は1円も増えず、副業収入がまるごと所得に乗るからです。年収の高い人にとっては「給与副業のみなし経費」は存在しません。

この2つの表は当サイトが国税庁の速算表・基礎控除表・給与所得控除の計算式に基づいて算出した概算であり、実際の税額を保証するものではありません。また、税額が軽いことと申告義務がないことは別問題です。給与副業は24万円のまま判定されるので、上の表のどのケースでも確定申告が必要になります。なお副業がアルバイトの場合、勤務時間や収入によっては社会保険の加入義務が生じ、税金とは別に保険料負担が発生することがあります(上の試算には含まれていません)。

あなたはどれに当てはまる?——判定チャート

上から順に見て、最初に当てはまったところが結論です。

あなたの状況20万円と比べる金額結論
① 本業の給与年収が2,000万円を超える副業の額に関係なく確定申告が必要(No.1900(1))。以下は読まなくてよい
② 医療費控除・ふるさと納税(ワンストップ特例を使わない)・住宅ローン控除の初年度などで、どうせ確定申告をする20万円以下の副業所得もその申告書に含めなければならない
③ 給与は本業の1か所だけ/副業は業務委託・ネット収入など副業の所得(収入−必要経費)と他の所得の合計20万円超→確定申告が必要。20万円以下→所得税の申告は不要(住民税の申告は必要)
④ 副業がアルバイト・パート(給与が2か所以上)年末調整されなかった給与の収入金額+他の所得同じ判定だが、給与部分から経費は引けない
⑤ ④に当てはまり、かつ給与収入の合計から一定の所得控除を引いた額が150万円以下他の所得の合計だけ他の所得が20万円以下なら申告不要(下の「150万円の特例」参照)
⑥ 副業報酬から源泉徴収されている/赤字がある20万円以下でも任意で申告すると還付を受けられることがある

③④で「20万円以下」に着地した人も、それで終わりではありません。住民税の申告が残ります(後述)。

見落としやすい「150万円」の特例

2か所以上から給与を受けている人の話には、もう一段の例外があります。国税庁No.1900の注記では、給与の収入金額の合計額から、雑損控除・医療費控除・寄附金控除・基礎控除以外の各所得控除の合計額を差し引いた金額が150万円以下で、かつ給与所得・退職所得以外の各種所得金額の合計額が20万円以下の人は申告不要とされています。

言い換えると、給与2か所の合計収入がそれほど多くなく、社会保険料控除・生命保険料控除・扶養控除などを引いた残りが150万円以下に収まる人は、2か所目の給与収入が20万円を超えていても所得税の確定申告をしなくてよい可能性があるということです。パート収入が2か所ある人や、年の途中で退職して短期のアルバイトを掛け持ちした人が該当しやすい条件です。

150万円と比べるのは「給与収入から所得控除を引いた額」で、給与所得控除を引いた後の給与所得ではありません。また基礎控除・医療費控除・寄附金控除・雑損控除は差し引かずに計算します。自分がこの特例に当てはまるかどうかは、源泉徴収票を持って税務署または市区町村の窓口で確認するのが確実です。

20万円ルールをめぐる5つの誤解

20万円以下でも、あえて申告したほうが得になるとき

20万円ルールに当てはまる人が任意で確定申告をして有利になるのは、主に次の3つの場合です。

逆に、経費0円で源泉徴収もされていない副業所得だけなら、申告しても還付は生じません。手続きの手間だけが増えるので、20万円以下なら申告不要を選ぶのが合理的です。実際の申告手順は確定申告のやり方5ステップの記事にまとめています。

住民税に20万円ルールはない

20万円ルールは所得税の確定申告についての特例であり、住民税にはこの免除がありません。副業所得が20万円以下で所得税の確定申告をしない場合でも、原則としてお住まいの市区町村へ住民税の申告を別途行う必要があります。所得税の確定申告をした場合は、その内容が税務署から自治体に共有されるため、住民税の申告を重ねて行う必要はありません。

上の試算表で「所得税0円・住民税だけ発生」の行があったのは、この非対称のためです。副業所得16.8万円でも住民税16,800円は生じます。申告書の書き方や窓口での手続きは住民税申告のやり方の記事、確定申告をする場合に住民税を給与天引きにしない手続きは第二表「自分で納付」の記事で扱っています。

住民税の申告方法や、給与に上乗せされる住民税額の目安については、副業の税金シミュレーターで本業年収と副業収支を入力すると、増える住民税額と申告の要否をあわせて確認できます。
自分のケースで20万円ルールに当てはまるか、数字で確認しませんか?
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まとめ

読むだけでなく、自分の数字で確かめませんか?
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確定申告ライン・住民税・増える税金を1分で見える化。登録不要。
この記事は2026年8月時点の制度に基づく一般的な解説です。記事中の試算は当サイトのシミュレーターと同じ計算式による概算であり、実際の税額を保証するものではありません(単身・社会保険料は本業年収の14.5%・その他の所得控除なしという前提のため、扶養控除やiDeCo、医療費控除などがある場合は金額が変わります)。所得区分の判定や必要経費の範囲は個々の状況によって異なる場合があります。個別の判断については、税務署または税理士にご確認ください。