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副業の経費にできるもの一覧
|家事按分のやり方と証拠の残し方【2026年版】

公開日:2026年7月28日 | この記事は2026年7月時点の制度に基づいています

副業の必要経費とは、その収入を得るために直接要した費用と、その年に生じた販売費・一般管理費その他業務上の費用のことです(国税庁タックスアンサーNo.2210)。副業の所得は「収入金額 − 必要経費」で計算するため、経費を正しく拾えるかどうかで、確定申告が必要かどうかの20万円判定にも、納める税額にも差が出ます。この記事では、副業で経費にできるものを費目別に整理し、自宅の家賃や通信費を按分する「家事按分」のやり方、10万円以上のものを買ったときの扱い、そして按分の根拠をどう残すかを解説します。

この記事の要点
  • 家賃・通信費・電気代などの家事関連費は、業務の遂行上直接必要な部分を明らかに区分できる金額に限って経費になる(国税庁No.2210)。全額は経費にできない
  • 買ったものは取得価額10万円未満なら使い始めた年に全額経費、10万円以上20万円未満なら3年間で3分の1ずつ、20万円以上は原則として耐用年数による減価償却(No.2100)
  • 白色申告では領収書・請求書などの書類は5年、収入金額と必要経費を記載した法定帳簿は7年の保存が必要(No.2080)
この記事でわかること
  1. 副業の必要経費とは何か——2つの条件
  2. 副業の経費にできるもの一覧(費目別)
  3. 家事按分のやり方——3つの基準と計算例
  4. 経費にできないもの・注意が必要なもの
  5. 10万円以上のものを買ったとき——3つのライン
  6. 証拠の残し方——領収書・帳簿の保存期間
  7. モデルケース:副業収入40万円の経費計算

副業の必要経費とは何か——2つの条件

結論として、副業の必要経費になるのは次の2つです(国税庁タックスアンサーNo.2210「必要経費の知識」)。

ポイントは「その副業の収入を得るために必要だったと説明できるか」です。同じ支出でも、副業と無関係なら経費になりません。逆に、副業のために使ったことを金額とセットで説明できるなら、費目の名前にこだわる必要はありません。

計上するタイミングは支払った年ではなく、債務が確定した年です。年末に発注して翌年に支払った費用は、原則としてその年の経費になります(No.2210)。

副業の経費にできるもの一覧(費目別)

会社員の副業でよく出てくる費目を、按分が必要かどうかで整理しました。「按分が必要」とは、私生活と共用しているため副業で使った割合分だけを経費にするという意味です。

費目具体例按分
支払手数料クラウドソーシングやフリマアプリの販売手数料、振込手数料、決済手数料不要(全額)
仕入れ・売上原価物販で売れた商品の仕入代金、材料費不要(全額)
外注費副業の作業を他の人に発注した費用不要(全額)
広告宣伝費副業の集客用に出した広告、名刺の印刷代不要(全額)
新聞図書費副業のために買った専門書・有料記事・業界誌不要(全額)
消耗品費副業専用の文具、10万円未満の機器・ソフト私用兼用なら必要
通信費自宅のインターネット回線、スマホの通信料必要
地代家賃自宅の家賃のうち作業スペース分必要
水道光熱費作業中の電気代必要
旅費交通費取材・打ち合わせ・仕入れのための移動費副業目的の分のみ
減価償却費10万円以上のパソコン・カメラなど後述のルールに従う
この表は「この費目なら必ず経費」という一覧ではありません。どの費目でも、その副業の収入を得るために使ったという説明ができることが前提になります。

家事按分のやり方——3つの基準と計算例

家賃・通信費・電気代のように、1つの支出が家事上と業務上の両方にかかわる費用を家事関連費といいます。この場合に必要経費になるのは、国税庁No.2210の表現を借りれば「取引の記録などに基づいて、業務の遂行上直接必要であったことが明らかに区分できる場合のその区分できる金額」に限られます(根拠は所得税法施行令第96条)。つまり、説明できる基準で分けた分だけが経費です。

実務でよく使われる按分基準は次の3つです。どれを使うかは費目の性質に合わせて選び、選んだ理由も一緒に記録しておきます。

基準計算方法向いている費目
床面積の割合作業スペースの面積 ÷ 住居全体の面積家賃、住宅の火災保険料
使用時間の割合副業に使った時間 ÷ 全体の使用時間(または活動時間)通信費、パソコン、スマホ
使用日数の割合副業に使った日数 ÷ 期間の日数電気代、車両費

たとえば自宅のインターネット回線が年間6万円で、1週間の活動時間70時間のうち副業の作業が10時間なら、按分率は10 ÷ 70 ≒ 14%。経費計上額は6万円 × 14% = 8,400円となります。

按分率は「なんとなく半分」では通りません。面積なら間取り図と実測値、時間なら作業記録といった、あとから示せる資料をセットで残してください。副業の実態と比べて明らかに高い按分率は、税務署から説明を求められたときに維持できない可能性があります。

経費にできないもの・注意が必要なもの

先に結論を書くと、副業と結びつかない支出、そして本人が納める税金や社会保険料は必要経費になりません。控除として別に扱われるものを経費に入れてしまう誤りが多いところです。

「経費を増やせば税金が減る」という考えで実態のない支出を計上すると、過少申告として追徴の対象になります。経費は使った事実があるものを正しく拾うもので、増やすものではありません。
なお家内労働者等の必要経費の特例(実際の経費が少なくても一定額を経費とみなせる制度)は、令和7年分以降その金額が65万円になりましたが、給与収入が65万円以上ある人は適用を受けられません(国税庁No.1810)。本業で給与を受けている会社員の副業では、まず使えないと考えてください。

10万円以上のものを買ったとき——3つのライン

パソコンやカメラのように長く使うものは、金額によって扱いが変わります。国税庁No.2100「減価償却のあらまし」に基づく3つのラインは次のとおりです。

取得価額扱い経費になる時期
10万円未満(または使用可能期間1年未満)取得に要した金額の全額を必要経費に算入使い始めた年に全額
10万円以上20万円未満一括償却資産(一定の要件のもとで選択可)取得価額の合計額の3分の1を3年間の各年
20万円以上法定耐用年数による減価償却が原則耐用年数にわたって分割

加えて、青色申告をしている人には少額減価償却資産の特例があります。令和8年3月31日までに取得した取得価額10万円以上30万円未満の減価償却資産について、年間300万円に達するまでその年の必要経費に算入できる制度です(No.2100)。ただし利用には青色申告の承認が必要で、雑所得として申告している副業では使えません。

10万円未満かどうかは本体価格だけでなく、その資産を使うために要した金額を含めた取得価額で判定します。また私用と兼用しているパソコンは、10万円未満で全額を経費に算入できる場合でも、副業で使う割合分に按分する必要があります。

証拠の残し方——領収書・帳簿の保存期間

経費は「使った」だけでは足りず、「使ったと示せる」状態にしておく必要があります。保存義務の期間は申告の形態によって異なります。

区分保存するもの期間
白色申告(事業所得等)収入金額や必要経費を記載した帳簿(法定帳簿)7年
白色申告(事業所得等)請求書、納品書、送り状、領収書などの書類5年
白色申告(事業所得等)法定帳簿以外の任意の帳簿、棚卸表その他の書類5年
業務に係る雑所得(前々年分の収入金額が300万円超)現金預金取引等関係書類5年

出典は国税庁No.2080「白色申告者の記帳・帳簿等保存制度」およびNo.1500「雑所得」です。副業が業務に係る雑所得で前々年分の収入金額が300万円以下なら書類の保存義務はありませんが、按分の根拠を示せるようにしておく実務上のメリットは変わりません。

前々年分の業務に係る雑所得の収入金額が1,000万円を超える場合は、確定申告書に総収入金額と必要経費の内容を記載した書類(収支内訳書など)の添付が必要になります(No.1500)。
帳簿書類を保存しているかどうかは、副業の所得が雑所得か事業所得かの判定にもかかわります。所得税基本通達35-2では、取引を記録した帳簿書類の保存がない場合(収入金額が300万円を超え、かつ事業所得と認められる事実がある場合を除く)は業務に係る雑所得に該当するとされています。記録を残すことは、経費の裏付けだけでなく所得区分の面でも意味があります。

モデルケース:副業収入40万円の経費計算

本業の給与収入450万円の会社員が、在宅の業務委託で年間40万円の収入を得ている場合の経費計算例です。按分率は説明のための一例で、実際の使用状況によって変わります。

費目年間の支出按分の根拠按分率経費計上額
ノートパソコン80,000円取得価額10万円未満のため全額算入できるが、私用と兼用なので使用時間で按分50%40,000円
通信費(自宅回線)60,000円1週間の活動時間70時間のうち副業の作業が10時間約14%8,400円
支払手数料20,000円副業の報酬から直接差し引かれた手数料100%20,000円
新聞図書費12,000円副業のために購入した専門書のみ100%12,000円
必要経費の合計80,400円

このケースの副業の所得金額は、40万円 − 80,400円 = 319,600円です。20万円を超えるため、所得税の確定申告が必要になります(国税庁No.1900)。仮にパソコンを按分せず全額の8万円を計上していれば所得は279,600円になりますが、私用と兼用している以上、按分せずに全額を経費にすることは認められません。

逆に、経費を1円も拾わなければ所得は40万円になり、その差額の80,400円分だけ余分に所得税と住民税がかかります。実際に増える税額は本業の年収や利用できる控除によって変わるため、自分の数字で確認するのが確実です。

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まとめ

この記事は2026年7月時点の制度に基づく一般的な解説です。ある支出が必要経費に該当するかどうか、按分率が妥当かどうかは個々の状況によって判断が異なります。個別の判断については、税務署または税理士にご確認ください。