副業の確定申告のやり方
|スマホ・e-Taxで完結する5ステップ【令和8年分・2027年提出】
副業の確定申告とは、給与以外の副業所得を自分で計算して国に申告し、所得税を精算する手続きです。次に来るのは令和8年分(2026年1月〜12月の所得)の申告で、期間は2027年(令和9年)2月16日(火)から3月15日(月)まで。いまはマイナンバーカードとスマートフォンがあれば、国税庁の「確定申告書等作成コーナー」からe-Taxで、書類の作成から提出までをスマホだけで完結できます。この記事では手順を5つのステップに分けて解説し、後半では報酬から源泉徴収されている人が申告するといくら戻るのか(あるいは追加で払うのか)を、当サイトのシミュレーターと同じ計算式で試算した表を載せています。
- 令和8年分(2026年分)の確定申告期間は2027年2月16日〜3月15日。納付期限も同日。ただし還付だけを受ける申告は2027年1月1日から提出できる(国税庁タックスアンサーNo.2030)
- スマホ+マイナンバーカード+マイナポータルアプリがあれば、確定申告書等作成コーナーからe-Tax(マイナンバーカード方式)で提出まで完結できる(ICカードリーダライタ・PC不要)
- 国税庁は令和8年分確定申告から、確定申告会場での休日相談を実施しない予定としている。会場での相談は平日に行く必要がある
- 報酬から10.21%が源泉徴収されている人は、申告すると戻る側か払う側かが本業年収で分かれる。当サイト試算では本業年収600万円までは還付、700万円では追加納付だった
- 令和8年分から変わること(先に確認)
- STEP1:自分は「申告が必要な人」なのか
- STEP2:手元にそろえる書類
- STEP3:副業の所得金額を計算する
- STEP4:作成コーナーで、どの数字をどこに入れるのか
- STEP5:提出したあと、いつ・いくら払うのか
- 【当サイト試算】源泉徴収されている副業、申告すると戻るのか払うのか
- あなたはどのルートで提出することになるか
- 「やり方」でつまずく6つの誤解
令和8年分から変わること(先に確認)
令和8年分は、控除の金額と確定申告会場の運営の両方が前年と変わります。手順に入る前に、この3点だけ押さえておくと入力時に迷いません。
| 項目 | 令和8年分(2027年提出) | 影響 |
|---|---|---|
| 基礎控除 | 合計所得489万円以下は104万円(655万円以下67万円/2,350万円以下62万円) | 令和8年度税制改正で引き上げ。作成コーナーが自動計算するので入力は不要 |
| 給与所得控除の最低保障 | 74万円(給与収入220万円以下) | 本業がフルタイムの人は影響なし。年の途中で辞めた人・パート掛け持ちの人は税額が下がる |
| 確定申告会場の休日相談 | 実施しない予定 | 令和7年分では3月1日(日)に一部税務署が開いていたが、令和8年分からは平日のみ。代わりに一部の休日に電話相談を実施予定 |
STEP1:自分は「申告が必要な人」なのか
最初に、自分に所得税の確定申告が必要かを確認します。結論として、給与を1か所から受け年末調整を受けている会社員は、給与所得・退職所得以外の所得金額の合計が年20万円以下なら所得税の確定申告は不要です(国税庁タックスアンサーNo.1900)。20万円を超える場合や、副業がアルバイトなど2か所目の給与でその収入が20万円を超える場合は申告が必要になります。
STEP2:手元にそろえる書類
申告が必要とわかったら、先に書類をそろえておくと入力がスムーズです。副業(業務委託・ネット収入などの雑所得・事業所得)で確定申告をする会社員が用意する主なものは次のとおりです。
- 本業の勤務先が発行する源泉徴収票(給与の金額・源泉徴収税額の入力に使う。提出は不要でも手元に必要)
- 副業の収入がわかる資料(支払調書、取引先からの支払明細、フリマ・プラットフォームの売上明細など)
- 副業の必要経費がわかる領収書・明細(通信費・消耗品費など。家事按分する場合はその根拠も)
- マイナンバーカードと、読み取りに対応したスマートフォン、マイナポータルアプリ(e-Taxで提出する場合)
- 還付金の振込先となる本人名義の口座情報
- 各種控除の証明書(生命保険料控除証明書、iDeCoの掛金証明書、医療費の明細など、該当する場合)
STEP3:副業の所得金額を計算する
次に、副業の所得金額=収入金額−必要経費を計算します。ここでいう「収入」は経費を差し引く前の売上・報酬の合計です。源泉徴収されている報酬の場合、振り込まれた金額ではなく天引き前の総額が収入金額になる点に注意してください。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 収入金額 | 副業で得た報酬・売上の年間合計(源泉徴収された分も税引き前の総額で計上) |
| 必要経費 | 収入を得るために使った費用(通信費・消耗品費・手数料など。私用と兼用なら家事按分) |
| 所得金額 | 収入金額 − 必要経費(この金額で20万円ルールや税額を判定する) |
STEP4:作成コーナーで、どの数字をどこに入れるのか
書類と所得金額がそろったら、国税庁の「確定申告書等作成コーナー」にアクセスして申告書を作成します。スマホでもパソコンでも同じサイトです。手を止めやすいのは「どの画面にどの数字を入れるのか」なので、入力の順番と対応関係を先に整理しておきます。
| 順番 | 入力する画面 | 手元の書類 | つまずきやすい点 |
|---|---|---|---|
| 1 | 提出方法の選択 | — | 「e-Tax(マイナンバーカード方式)」を選ぶ。ここで「印刷して提出」を選ぶと最後まで紙のルートになる |
| 2 | 本人認証 | マイナンバーカード | マイナポータルアプリでカードを読み取る。読み取り時に必要なのは数字4桁の利用者証明用パスワードと、署名用の英数字6〜16桁の2種類 |
| 3 | 給与所得の入力 | 本業の源泉徴収票 | 「支払金額」と「源泉徴収税額」を転記する。給与所得控除や基礎控除は自分で計算せず自動計算に任せる |
| 4 | 雑所得(業務)の入力 | 支払調書・売上明細 | 継続的な副業は雑所得の「業務」。フリマの単発売却などは「その他」。収入金額と必要経費を分けて入れる欄がある |
| 5 | 源泉徴収税額の入力 | 支払調書・支払明細 | 副業側で天引きされた額を入れる欄が別にある。ここを空欄で進めると還付されるはずの税金が反映されない |
| 6 | 所得控除の入力 | 各控除の証明書 | 生命保険料・iDeCo・医療費・ふるさと納税など。本業の年末調整で済んでいるものは源泉徴収票からの転記で足りる |
| 7 | 住民税に関する事項 | — | 「給与、公的年金等以外の所得に係る住民税の徴収方法」で自分で納付を選べる。ここを飛ばすと給与天引きになる |
STEP5:提出したあと、いつ・いくら払うのか
入力が終わると税額が自動計算されます。内容を確認し、そのままe-Taxで送信すれば提出は完了です。ここで大事なのは、申告で精算されるのは所得税だけだということ。住民税は同じタイミングでは請求されません。
| いつ | 何が起きるか |
|---|---|
| 2027年1月1日〜 | 還付申告(納める税金がなく還付だけの申告)はこの日から提出できる。5年間提出可(No.2030) |
| 2027年2月16日〜3月15日 | 納税がある場合の申告期間。納付期限も3月15日。振替納税・ダイレクト納付・クレジットカード納付・コンビニ納付(QRコード)などから選べる |
| 申告から概ね数週間後 | 還付がある場合、指定口座に振り込まれる(e-Taxのほうが書面より早い傾向) |
| 2027年6月ごろ | 住民税の通知が届く。第二表で「自分で納付」を選んだ場合は納付書が自宅に届き、6月・8月・10月・翌1月の4期に分けて納める自治体が多い |
【当サイト試算】源泉徴収されている副業、申告すると戻るのか払うのか
ここが手順の解説ではいちばん抜けやすいところです。原稿料・デザイン料・講演料などの報酬は、支払時に10.21%が源泉徴収されます(国税庁タックスアンサーNo.2795。1回の支払が100万円を超える部分は20.42%)。つまりその副業については、申告する前にすでに一部の所得税を納めています。
そこで当サイトのシミュレーターと同じ計算式(国税庁の速算表・令和8年分の基礎控除と給与所得控除・住民税所得割10%)を使い、副業収入40万円・必要経費10万円(所得30万円)・源泉徴収税額40,840円に固定して、本業年収だけを振って試算しました。
| 本業の年収 | 副業で増える所得税 | すでに天引きされた額 | 申告での精算 | 翌年6月からの住民税 |
|---|---|---|---|---|
| 300万円 | 15,300円 | 40,840円 | 25,540円 還付 | 30,000円 |
| 400万円 | 15,400円 | 40,840円 | 25,440円 還付 | 30,000円 |
| 500万円 | 22,700円 | 40,840円 | 18,140円 還付 | 30,000円 |
| 600万円 | 30,700円 | 40,840円 | 10,140円 還付 | 30,000円 |
| 700万円 | 61,300円 | 40,840円 | 20,460円 追加納付 | 30,000円 |
条件:単身の会社員・副業は雑所得・社会保険料は本業年収の14.5%で概算・その他の所得控除なし・住民税は所得割のみ(均等割は副業の有無で変わらないため除外)。本業の所得税は年末調整で精算済みとし、副業分の増加額と源泉徴収税額を比較しています。300万円と400万円で所得税額がわずかに違うのは、課税所得の千円未満切捨てによる端数の差です。
境目は「自分の所得税率が何%の帯にいるか」です。源泉徴収の10.21%は、所得税率10%に復興特別所得税2.1%を乗せた水準そのもの。だから課税所得が5%の帯にある人は納めすぎになっていて差額が戻り、20%の帯にいる人は源泉徴収では足りず追加納付になります。上の表で600万円と700万円の間に大きな段差があるのは、この帯の境目(課税所得330万円)を越えるからです。
20万円以下で申告しないと、天引きされた分は戻らない
もうひとつ、源泉徴収されている人だけに起きる論点があります。経費を適正に計上した結果、副業の所得が20万円以下になったケースです。所得税の申告は不要になりますが、申告しなければ天引きされた40,840円もそのまま国に残ります。本業年収500万円・副業収入40万円で試算した結果が次のとおりです。
| 必要経費 | 副業の所得 | 申告しない場合 | 任意で確定申告した場合 |
|---|---|---|---|
| 20万円 | 20万円 | 所得税0円だが源泉徴収の40,840円は戻らない(別途、住民税の申告と20,000円の納付) | 所得税12,500円が確定し、28,340円が還付 |
| 25万円 | 15万円 | 同上(住民税15,000円) | 所得税7,600円が確定し、33,240円が還付 |
| 30万円 | 10万円 | 同上(住民税10,000円) | 所得税5,100円が確定し、35,740円が還付 |
条件は上の表と同じ(本業年収500万円・単身・副業は雑所得・源泉徴収税額40,840円)。20万円ルールは「申告しなくてよい」という免除であって「してはいけない」という禁止ではないため、任意で申告できます。
あなたはどのルートで提出することになるか
「スマホで完結」と言われても、そもそもその条件を満たしていない人もいます。上から順に見て、最初に当てはまったところがあなたのルートです。
| あなたの状況 | 提出ルート |
|---|---|
| ① マイナンバーカードがあり、読み取り対応スマホがある | 作成コーナー → マイナンバーカード方式でe-Tax送信。最短ルートで、PCもICカードリーダライタも不要 |
| ② マイナンバーカードはあるが、スマホが読み取りに非対応 | PC+ICカードリーダライタ、または「スマホ用電子証明書」を搭載したスマホで送信 |
| ③ すでにe-TaxのID・パスワードを持っている | 引き続きID・パスワード方式で送信できる。ただし新規発行は令和7年10月1日で停止済みで、今後の扱いは未公表 |
| ④ マイナンバーカードもID・パスワードもない | 作成コーナーで申告書を作り、印刷して税務署へ郵送または持参。この場合はマイナンバーカードなどの本人確認書類の写しを添付する |
| ⑤ 副業がアルバイト・パート(2か所目の給与) | ルートは①〜④と同じだが、入力するのは雑所得ではなく2枚目の源泉徴収票。判定も収入金額で行う(2か所給与の記事) |
| ⑥ 副業所得が20万円以下で、源泉徴収もされていない | 所得税の確定申告は不要。市区町村への住民税申告だけを行う(住民税申告のやり方) |
| ⑦ 対面で相談したいことがある | 令和8年分からは会場の休日相談が行われない予定。平日に会場へ行くか、電話相談・チャットボットを使う。会場は事前の入場整理券(オンライン予約)が必要 |
「やり方」でつまずく6つの誤解
手順そのものより、思い込みで遠回りしている人のほうが多いところです。
- 「確定申告をすると会社に副業が知られる」→ 申告書が会社に渡ることはない。会社に伝わりうる経路は住民税の特別徴収です。第二表で「自分で納付」を選べば副業分は給与天引きから外せます(給与・公的年金等以外の所得が対象)
- 「経費の領収書を申告書と一緒に出す」→ 領収書の提出は不要。ただし保存義務があります。e-Taxでは生命保険料控除証明書などの第三者作成書類も、内容を入力して送信すれば添付を省略でき、その場合は法定申告期限から5年間の保存が必要です(国税庁e-Tax)
- 「還付されるなら2月16日まで待つ」→ 待たなくてよい。納める税金がなく還付だけの申告は、その年の翌年1月1日から5年間提出できます(No.2030)。令和8年分なら2027年1月1日から
- 「申告して納税すれば終わり」→ 住民税が翌年6月に別途来る。確定申告で精算されるのは所得税と復興特別所得税だけです。上の試算表のとおり、住民税のほうが金額が大きくなることも珍しくありません
- 「20万円以下なら何もしなくていい」→ 住民税の申告が残る。20万円ルールは所得税の話で、住民税には同じ免除がありません(20万円ルール完全ガイド)
- 「期限を1日過ぎたら終わり」→ 期限後申告はできる。法定申告期限から1か月以内に自主的に申告し、かつ納付すべき税額の全額を法定納期限までに納付していて、過去5年間に無申告加算税・重加算税を課されたことがない場合は、無申告加算税は課されません(国税庁タックスアンサーNo.2024)。詳しくは無申告のペナルティの記事
まとめ
- 令和8年分の申告期間は2027年2月16日〜3月15日。還付だけなら2027年1月1日から出せる
- STEP1〜3:20万円ルールで要否を確認し(No.1900)、源泉徴収票・支払調書・領収書をそろえ、収入−経費で所得を出す
- STEP4:作成コーナーでは所得の入力と源泉徴収税額の入力が別画面。後者を飛ばすと還付が消える
- STEP5:所得税は申告で精算、住民税は翌年6月に別建てで来る。第二表で「自分で納付」を選べる
- 源泉徴収されている副業は、本業年収600万円あたりまでは還付、700万円では追加納付(当サイト試算)。所得20万円以下でも任意申告したほうが手元に残る額は多い
- 令和8年分から会場の休日相談は行われない予定。相談が必要なら平日か電話相談を使う