確定申告ライン・住民税・増える税金を1分で見える化

副業の住民税申告のやり方
|20万円以下でも必要な手続き【令和9年度分】

公開日:2026年7月30日 | 最終更新:2026年8月25日

住民税の申告とは、前年中の所得を1月1日現在の住所地の市区町村へ届け出る手続きで、所得税の確定申告と違って「20万円以下なら不要」という省略の取り扱いがありません(名古屋市「給与所得者で副収入がある場合、市民税・県民税の申告は?」)。副業の所得が20万円以下で所得税の確定申告をしなかった人は、代わりに住民税の申告が必要になります。この記事では、次に手続きの対象になる令和9年度分(2026年=令和8年中の所得、期限は2027年3月15日)を前提に、自分に申告義務があるかの判定、提出先と必要書類、会社に副業の情報を伝えないための「自分で納付」の選び方までを、公的機関の案内に基づいて解説します。所得税は1円もかからないのに住民税だけかかる人がいる理由も、当サイトのシミュレーターで実際に計算した数字で示します。

この記事の要点
  • 副業の所得が20万円以下で所得税の確定申告をしない場合、1月1日現在の住所地の市区町村への住民税申告が必要(住民税に20万円ルールの省略規定はない)
  • 次に来る令和9年度分(2026年=令和8年中の所得)の申告期限は2027年3月15日(月)。原則3月15日で、この日が土日にあたる年だけ翌開庁日にずれる
  • 所得税の確定申告書を税務署に提出した人は、住民税の申告をしたものとみなされるため二重に出す必要はない
  • 令和9年度分から、住民税の非課税ライン(給与収入のみなら119万円※1級地)と所得税がかからないライン(178万円)の差はさらに開く。所得税は0円なのに住民税だけかかる人が増える
この記事でわかること
  1. 所得税で申告不要なら、住民税も不要では?
  2. 自分は申告が必要か——3つの条件で判定
  3. 逆に、出さなくていいのはどんな人か
  4. 住民税申告のやり方——4ステップ
  5. 申告書で「自分で納付(普通徴収)」を選ぶ
  6. 副業所得15万円で住民税はいくら増えるか
  7. 所得税は0円なのに住民税だけかかる人がいる(当サイト試算)
  8. 「そうだと思っていた」を訂正する5つの誤解
  9. 出し忘れたまま放置するとどうなるか

所得税で申告不要なら、住民税も不要では?

結論は、所得税と住民税は別の税金で、20万円ルールは所得税にしかないからです。

年末調整を受けた給与所得者は、給与所得や退職所得以外の所得が年間20万円以下であれば所得税の確定申告をしなくてよい、という取り扱いがあります(国税庁タックスアンサーNo.1900)。一方で住民税(個人住民税=市町村民税・道府県民税)にはこれに対応する規定がありません。福岡市の令和8年度「市民税・県民税 申告の手引き」も、所得税において給与所得以外の所得が20万円以下のときは確定申告をする必要はないが、市県民税においては申告をする必要があると明記しています。

住民税は、その年の1月1日時点で市町村に住所がある人に対して課税され、前年の1月1日から12月31日までの所得で税額が算定されます(総務省「個人住民税」)。市区町村は勤務先からの給与支払報告書で本業の給与は把握できますが、業務委託やフリマ、広告収入といった給与以外の所得は把握できません。だからこそ本人の申告が必要になります。

つまり、副業の所得が20万円以下の会社員がとるべき行動は「何もしない」ではなく、「確定申告はしないが、住民税の申告はする」です。

自分は申告が必要か——3つの条件で判定

先に答えを書くと、次の3つすべてに当てはまる人は住民税の申告が必要です。福岡市の申告の手引きに示された条件を、次に対象となる令和9年度分に当てはめた形で整理しました。

会社員の副業でとくに該当しやすいのは、横浜市が挙げている次のようなケースです。いずれも「所得税では申告不要だが住民税では申告が必要」という状態にあたります。

状況所得税の確定申告住民税の申告
1か所から給与を受け、給与以外の所得の合計が20万円以下原則不要必要
2か所以上から給与を受け、年末調整されなかった給与収入と給与以外の所得の合計が20万円以下原則不要必要
公的年金等の収入が400万円以下で、それ以外の所得が20万円以下原則不要必要
副業の所得が20万円を超える必要確定申告で足りる(別途不要)
「所得20万円以下」の判定は所得の種類で基準が変わります。業務委託やフリマなどの雑所得は収入から必要経費を引いた所得で、副業アルバイトなど2か所目の給与は収入金額で判定します。詳しくは20万円ルール完全ガイドで解説しています。

逆に、出さなくていいのはどんな人か

次のいずれかに当てはまる人は、住民税の申告をする必要がありません(福岡市の手引き、横浜市の案内)。

医療費控除やふるさと納税(ワンストップ特例を使わない場合)のために確定申告をするなら、そこで副業の所得もあわせて申告することになります。この場合は20万円以下でも所得を申告書に含める必要があり、住民税の申告は別途不要です。
申告不要の条件や様式の細部は自治体ごとに異なります。上に挙げたのは福岡市・横浜市の案内に基づく整理です。手続きの前に、お住まいの市区町村の「市民税・県民税の申告」のページを確認してください。

住民税申告のやり方——4ステップ

手続きの流れはシンプルです。確定申告と比べて計算する項目が少なく、必要書類も限られます。

ステップ1:期限と提出先を確認する

期限は原則として毎年3月15日で、3月15日が土曜日または日曜日にあたるときは翌開庁日が期限になります(横浜市)。次に対象となる令和9年度分(2026年中の所得)は、2027年3月15日が月曜日にあたるため、原則どおり2027年3月15日が期限です。提出先は賦課期日である1月1日現在の住所地の市区町村で、区がある市では区役所の課税課・税務課が窓口になります。年明けに引っ越した場合も、1月1日時点に住んでいた自治体が提出先です。

所得税の確定申告と期限が同じ日に見えますが、別の手続きです。所得税の申告期間は2027年2月16日〜3月15日、住民税の申告は自治体によって2月16日より前から受け付けているところもあります。迷ったら確定申告を出しておけば住民税の申告も済んだことになるので、どちらを出すか決めきれないときは確定申告のほうが安全です。

ステップ2:申告書を入手する

市区町村のウェブサイトから様式(PDF)をダウンロードするか、窓口で受け取ります。名称は「市民税・県民税申告書」「住民税申告書」など自治体によって異なります。福岡市のようにオンラインで申告書を作成し税額試算までできる自治体や、eLTAXによる電子申告に対応している自治体もあります(横浜市)。

1〜2月ごろ、市区町村から申告書が郵送で届く人もいます。前年に申告した人や、給与支払報告書に不明点がある人に送られる運用が一般的です。届かなかったからといって申告が不要という意味ではありません。届いていなくても、上の3条件に当てはまるなら自分で様式を入手して提出します。

ステップ3:収入・所得と控除を記入する

用意する書類は次のとおりです。

副業が業務委託などの雑所得なら、収入と経費を集計して所得金額を出すところが実質的な作業のすべてです。経費の拾い方は副業の経費にできるもの一覧で解説しています。

ステップ4:納税方法を選んで提出する

後述する納税方法の選択欄にチェックを入れ、窓口・郵送・電子申告のいずれかで提出します。郵送の場合は本人確認書類の写しを同封します。提出後、税額が決まると6月ごろに納税通知書が届きます。

申告書で「自分で納付(普通徴収)」を選ぶ

結論として、多くの自治体の住民税申告書には、給与・公的年金等以外の所得にかかる住民税の納税方法を選ぶ欄があります。広島市の「令和8年度分市民税・県民税申告書の書き方」では、給与から差し引くことを希望する場合は「給与から差引き(特別徴収)」に、給与から差し引かずに納付書・キャッシュレス納付・口座振替で納めることを希望する場合は「自分で納付(普通徴収)」にチェックを入れるよう案内されています。

納税方法納め方会社に届く通知
給与から差引き(特別徴収)本業の給与から毎月天引き副業分を含んだ税額が通知される
自分で納付(普通徴収)自宅に届く納付書などで自分で納付(年4回が一般的)本業の給与分のみが通知される

「自分で納付」を選べば、会社に届く住民税の決定通知に載る税額は本業の給与に対応する分だけになります。副業の所得に対応する住民税は、自宅に届く納付書などで自分で納めます。

これは「絶対に会社に知られない」方法ではありません。副業が2か所目の給与(アルバイト・パート)の場合、給与所得に対する住民税は給与から特別徴収されるため普通徴収は選べません。また自治体の運用や事務処理の結果として特別徴収になることもあります。就業規則で副業が禁止・許可制になっている場合は、税務上の手続きとは別に、まず勤務先のルールを確認してください。

副業所得15万円で住民税はいくら増えるか

本業の給与収入450万円の会社員が、業務委託の副業で年間の所得(収入 − 経費)を得た場合に、住民税がどれだけ増えるかの目安です。住民税の所得割の税率は所得に対して10%(道府県民税4%、市町村民税6%)という標準税率が用いられます(総務省「個人住民税」)。

副業の所得所得税の確定申告住民税の申告増える住民税の目安(所得割10%)
5万円不要必要約5,000円
10万円不要必要約10,000円
15万円不要必要約15,000円
20万円(ちょうど)不要必要約20,000円
25万円必要確定申告で足りる約25,000円+所得税

副業所得15万円のケースを追うと、所得税は20万円ルールで確定申告が不要になるため、この15万円に対する所得税はかかりません。一方で住民税は15万円が課税対象に加わるため、15万円 × 10% = 約15,000円の所得割が増えます。均等割は所得の多少で変わらない定額部分(標準税額4,000円+森林環境税1,000円)なので、副業所得が増えても金額は変わりません。

この表は本業の給与で所得控除を使い切っており、副業の所得がそのまま課税所得に加算される前提の概算です。実際には利用できる控除の残りや自治体の税率によって変わります。また副業所得が20万円を超えると所得税もかかり、その税率は本業の課税所得の水準で変わるため、合計の負担は表の金額より大きくなります。

ここで押さえておきたいのが、令和9年度分(2026年中の所得)から、住民税と所得税の控除額の差がさらに開くことです。給与所得控除の最低保障額は令和9年度・令和10年度の住民税で74万円になります(名古屋市「令和9年度以降適用される市民税・県民税に関する主な税制改正」)。一方で住民税の基礎控除は最高43万円のまま据え置きで、所得税の基礎控除(合計所得489万円以下なら104万円)とは61万円もの開きがあります。この差が、次に説明する「所得税は0円なのに住民税だけかかる」状態を生みます。

所得税は0円なのに住民税だけかかる人がいる(当サイト試算)

副業をしている人のなかには、確定申告をしても所得税が1円も出ないのに、住民税の申告と課税だけが発生する層があります。本業がパート・アルバイトや時短勤務で年収が低めの人、年の途中で転職・休職した人がここに入ります。

理由は控除額の差です。所得税は「給与所得控除74万円+基礎控除104万円=給与収入178万円」まで税額が出ませんが、住民税が非課税になるのは合計所得45万円まで(給与収入のみなら119万円。※東京23区・政令市などの1級地の場合)。給与収入119万円から178万円までの59万円分は、所得税ゼロ・住民税課税という帯になります。

この帯に副業所得が加わるとどうなるかを、当サイトのシミュレーターと同じ計算ロジックで実際に計算しました。副業は業務委託などの雑所得で、所得(収入−経費)は年15万円。社会保険料控除・生命保険料控除などの所得控除は0円(勤務先の社会保険に加入していないケース)としています。

本業の給与収入副業込みの
合計所得金額
所得税
(年・副業込み)
住民税の所得割
(副業なしの場合)
住民税の所得割
(副業所得15万円あり)
100万円41万円0円非課税(0円)非課税(0円)
110万円51万円0円非課税(0円)5,500円
119万円60万円0円非課税(0円)14,500円
130万円71万円0円10,500円25,500円
150万円91万円0円30,500円45,500円
163万円104万円0円(ここが上限)43,500円58,500円
178万円119万円7,600円58,500円73,500円
200万円141万円18,800円80,500円95,500円

この表からわかることは3つあります。

この試算は所得税の速算表(国税庁No.2260)+復興特別所得税2.1%、住民税の所得割10%・基礎控除43万円・調整控除2,500円で計算した概算です。住民税の均等割(標準税額4,000円+森林環境税1,000円)は副業の有無で変わらないため含めていません。非課税限度額は自治体の級地区分で異なり、合計所得45万円(給与収入119万円)は1級地の基準です。3級地では合計所得38万円(給与収入112万円)が基準になります。
この帯にいる人ほど、住民税の申告を忘れやすい傾向があります。「所得税がかからないなら税務署も市役所も関係ない」と思ってしまうからです。しかし住民税は所得税とは別の基準で課税されるため、確定申告をしない=申告義務が消えるわけではありません。自分の数字で確かめたい方はシミュレーターに本業年収と副業の金額を入れてみてください。
住民税はいくら増える?確定申告は必要?
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「そうだと思っていた」を訂正する5つの誤解

住民税の申告は、確定申告に比べて解説される機会が少ないぶん、思い込みが定着しやすい手続きです。よく見かける誤解と実際の取り扱いを並べます。

よくある思い込み実際は
副業所得が20万円以下なら、何の手続きもいらないいらないのは所得税の確定申告だけ。住民税には20万円ルールに対応する省略規定がなく、市区町村への申告が必要(名古屋市・福岡市)
確定申告をしたら、住民税の申告も別に出さなければならない不要。確定申告書を提出した人は住民税の申告をしたものとみなされる。二重に出すと自治体側で重複処理の手間が生じる
住民税の申告をすると、そこで副業が会社に知られる申告そのものが会社に通知されるわけではない。会社に届くのは6月ごろの特別徴収税額の決定通知で、そこに載る税額を本業分だけにするために「自分で納付」を選ぶ
「自分で納付」にチェックすれば絶対に知られない副業が2か所目の給与なら選べない(給与分は特別徴収が原則)。自治体の運用で特別徴収になることもある。確実な方法ではない
住民税の申告書には副業の分だけ書けばよい本業の給与を含めて前年中の所得すべてを記載する。本業の源泉徴収票が手元に必要
節税のつもりで副業の収入を書かない、実際には支出していない経費を計上する、といった処理は申告漏れ・過少申告にあたります。所得を正しく下げられるのは実際にかかった経費を適正に計上する場合だけです。何が経費になるかは副業の経費にできるもの一覧にまとめています。

出し忘れたまま放置するとどうなるか

住民税の申告は義務であり、放置すると次のような不利益があります。

期限の3月15日を過ぎても申告書は受け付けてもらえます。気づいた時点で市区町村の窓口に相談し、期限後でも申告するのが基本的な対応です。ただしいつまでも遡れるわけではありません。徳島市は、賦課決定ができる期間が法定納期限の翌日から3年(税額が減る方向の決定は5年)であるため、それを超えた年度分は申告しても市民税・県民税に反映できないと案内しています。過去分に気づいたら早いほうが確実です。
なお地方税法第317条の5は、正当な理由がなく申告書を提出しなかった人に対し、市町村の条例で10万円以下の過料を科す旨の規定を設けることができると定めています。実際に適用される例は多くありませんが、住民税の申告が任意の協力ではなく法律上の義務であることの根拠です。
申告してから納税通知書が届くまではおよそ3か月です。3月に申告すると、税額が確定して自宅に納付書が届くのは6月ごろ。普通徴収の納期は6月・8月・10月・翌年1月の年4回が一般的で、一括納付も選べます。「申告したのに何も来ない」と不安になる時期がありますが、通知が届くまでのタイムラグは正常です。

まとめ

この記事は2026年8月時点の制度と各自治体の公表資料に基づく一般的な解説です。住民税の申告様式・申告不要の条件・非課税限度額・納税方法の選択欄の有無は市区町村ごとに異なります。記事中の試算はいずれも概算であり、実際の税額を保証するものではありません。ご自身の手続きについては、お住まいの市区町村の税務担当窓口または税理士にご確認ください。