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副業の住民税申告のやり方
|20万円以下でも必要な手続き【2026年版】

公開日:2026年7月30日 | この記事は2026年7月時点の制度に基づいています

住民税の申告とは、前年中の所得を1月1日現在の住所地の市区町村へ届け出る手続きで、所得税の確定申告と違って「20万円以下なら不要」という省略の取り扱いがありません(名古屋市「給与所得者で副収入がある場合、市民税・県民税の申告は?」)。副業の所得が20万円以下で所得税の確定申告をしなかった人は、代わりに住民税の申告が必要になります。この記事では、自分に申告義務があるかの判定、令和8年度分の期限、提出先と必要書類、そして会社に副業の情報を伝えないための「自分で納付」の選び方までを、公的機関の案内に基づいて解説します。

この記事の要点
  • 副業の所得が20万円以下で所得税の確定申告をしない場合、1月1日現在の住所地の市区町村への住民税申告が必要(住民税に20万円ルールの省略規定はない)
  • 令和8年度分(令和7年中の所得)の申告期限は2026年3月16日(月)。原則3月15日だが、2026年3月15日は日曜日のため翌開庁日にずれる
  • 所得税の確定申告書を税務署に提出した人は、住民税の申告をしたものとみなされるため二重に出す必要はない
この記事でわかること
  1. なぜ20万円以下でも住民税の申告が必要なのか
  2. 自分は申告が必要か——3つの条件で判定
  3. 申告が不要になるケース
  4. 住民税申告のやり方——4ステップ
  5. 申告書で「自分で納付(普通徴収)」を選ぶ
  6. モデルケース:副業所得15万円で増える住民税
  7. 申告しないとどうなるか

なぜ20万円以下でも住民税の申告が必要なのか

結論は、所得税と住民税は別の税金で、20万円ルールは所得税にしかないからです。

年末調整を受けた給与所得者は、給与所得や退職所得以外の所得が年間20万円以下であれば所得税の確定申告をしなくてよい、という取り扱いがあります(国税庁タックスアンサーNo.1900)。一方で住民税(個人住民税=市町村民税・道府県民税)にはこれに対応する規定がありません。福岡市の令和8年度「市民税・県民税 申告の手引き」も、所得税において給与所得以外の所得が20万円以下のときは確定申告をする必要はないが、市県民税においては申告をする必要があると明記しています。

住民税は、その年の1月1日時点で市町村に住所がある人に対して課税され、前年の1月1日から12月31日までの所得で税額が算定されます(総務省「個人住民税」)。市区町村は勤務先からの給与支払報告書で本業の給与は把握できますが、業務委託やフリマ、広告収入といった給与以外の所得は把握できません。だからこそ本人の申告が必要になります。

つまり、副業の所得が20万円以下の会社員がとるべき行動は「何もしない」ではなく、「確定申告はしないが、住民税の申告はする」です。

自分は申告が必要か——3つの条件で判定

先に答えを書くと、次の3つすべてに当てはまる人は住民税の申告が必要です。福岡市の令和8年度申告の手引きに示された条件を、令和8年度分(令和7年中の所得)に当てはめた形で整理しました。

会社員の副業でとくに該当しやすいのは、横浜市が挙げている次のようなケースです。いずれも「所得税では申告不要だが住民税では申告が必要」という状態にあたります。

状況所得税の確定申告住民税の申告
1か所から給与を受け、給与以外の所得の合計が20万円以下原則不要必要
2か所以上から給与を受け、年末調整されなかった給与収入と給与以外の所得の合計が20万円以下原則不要必要
公的年金等の収入が400万円以下で、それ以外の所得が20万円以下原則不要必要
副業の所得が20万円を超える必要確定申告で足りる(別途不要)
「所得20万円以下」の判定は所得の種類で基準が変わります。業務委託やフリマなどの雑所得は収入から必要経費を引いた所得で、副業アルバイトなど2か所目の給与は収入金額で判定します。詳しくは20万円ルール完全ガイドで解説しています。

申告が不要になるケース

次のいずれかに当てはまる人は、住民税の申告をする必要がありません(福岡市の手引き、横浜市の案内)。

医療費控除やふるさと納税(ワンストップ特例を使わない場合)のために確定申告をするなら、そこで副業の所得もあわせて申告することになります。この場合は20万円以下でも所得を申告書に含める必要があり、住民税の申告は別途不要です。
申告不要の条件や様式の細部は自治体ごとに異なります。上に挙げたのは福岡市・横浜市の案内に基づく整理です。手続きの前に、お住まいの市区町村の「市民税・県民税の申告」のページを確認してください。

住民税申告のやり方——4ステップ

手続きの流れはシンプルです。確定申告と比べて計算する項目が少なく、必要書類も限られます。

ステップ1:期限と提出先を確認する

期限は原則として毎年3月15日で、3月15日が土曜日または日曜日にあたるときは翌開庁日が期限になります(横浜市)。2026年3月15日は日曜日にあたるため、令和8年度分の期限は2026年3月16日(月)です。提出先は賦課期日である1月1日現在の住所地の市区町村で、区がある市では区役所の課税課・税務課が窓口になります。年明けに引っ越した場合も、1月1日時点に住んでいた自治体が提出先です。

ステップ2:申告書を入手する

市区町村のウェブサイトから様式(PDF)をダウンロードするか、窓口で受け取ります。名称は「市民税・県民税申告書」「住民税申告書」など自治体によって異なります。福岡市のようにオンラインで申告書を作成し税額試算までできる自治体や、eLTAXによる電子申告に対応している自治体もあります(横浜市)。

ステップ3:収入・所得と控除を記入する

用意する書類は次のとおりです。

副業が業務委託などの雑所得なら、収入と経費を集計して所得金額を出すところが実質的な作業のすべてです。経費の拾い方は副業の経費にできるもの一覧で解説しています。

ステップ4:納税方法を選んで提出する

後述する納税方法の選択欄にチェックを入れ、窓口・郵送・電子申告のいずれかで提出します。郵送の場合は本人確認書類の写しを同封します。提出後、税額が決まると6月ごろに納税通知書が届きます。

申告書で「自分で納付(普通徴収)」を選ぶ

結論として、多くの自治体の住民税申告書には、給与・公的年金等以外の所得にかかる住民税の納税方法を選ぶ欄があります。広島市の「令和8年度分市民税・県民税申告書の書き方」では、給与から差し引くことを希望する場合は「給与から差引き(特別徴収)」に、給与から差し引かずに納付書・キャッシュレス納付・口座振替で納めることを希望する場合は「自分で納付(普通徴収)」にチェックを入れるよう案内されています。

納税方法納め方会社に届く通知
給与から差引き(特別徴収)本業の給与から毎月天引き副業分を含んだ税額が通知される
自分で納付(普通徴収)自宅に届く納付書などで自分で納付(年4回が一般的)本業の給与分のみが通知される

「自分で納付」を選べば、会社に届く住民税の決定通知に載る税額は本業の給与に対応する分だけになります。副業の所得に対応する住民税は、自宅に届く納付書などで自分で納めます。

これは「絶対に会社に知られない」方法ではありません。副業が2か所目の給与(アルバイト・パート)の場合、給与所得に対する住民税は給与から特別徴収されるため普通徴収は選べません。また自治体の運用や事務処理の結果として特別徴収になることもあります。就業規則で副業が禁止・許可制になっている場合は、税務上の手続きとは別に、まず勤務先のルールを確認してください。

モデルケース:副業所得15万円で増える住民税

本業の給与収入450万円の会社員が、業務委託の副業で年間の所得(収入 − 経費)を得た場合に、住民税がどれだけ増えるかの目安です。住民税の所得割の税率は所得に対して10%(道府県民税4%、市町村民税6%)という標準税率が用いられます(総務省「個人住民税」)。

副業の所得所得税の確定申告住民税の申告増える住民税の目安(所得割10%)
5万円不要必要約5,000円
10万円不要必要約10,000円
15万円不要必要約15,000円
20万円(ちょうど)不要必要約20,000円
25万円必要確定申告で足りる約25,000円+所得税

副業所得15万円のケースを追うと、所得税は20万円ルールで確定申告が不要になるため、この15万円に対する所得税はかかりません。一方で住民税は15万円が課税対象に加わるため、15万円 × 10% = 約15,000円の所得割が増えます。均等割は所得の多少で変わらない定額部分(標準税額4,000円+森林環境税1,000円)なので、副業所得が増えても金額は変わりません。

この表は本業の給与で所得控除を使い切っており、副業の所得がそのまま課税所得に加算される前提の概算です。実際には利用できる控除の残りや自治体の税率によって変わります。また副業所得が20万円を超えると所得税もかかり、その税率は本業の課税所得の水準で変わるため、合計の負担は表の金額より大きくなります。

ちなみに、令和8年度分の個人住民税からは給与所得控除の最低保障額が55万円から65万円に引き上げられています(神戸市「2026年度(令和8年度)からの住民税の主な改正内容」)。住民税の基礎控除は最高43万円で据え置きです(総務省「個人住民税」)。所得税の基礎控除とは金額が異なるため、所得税では税額が出ないのに住民税では出る、という状況が起こり得ます。

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申告しないとどうなるか

住民税の申告は義務であり、放置すると次のような不利益があります。

期限の3月16日を過ぎても申告書は受け付けてもらえます。気づいた時点で市区町村の窓口に相談し、期限後でも申告するのが基本的な対応です。

まとめ

この記事は2026年7月時点の制度と各自治体の公表資料に基づく一般的な解説です。住民税の申告様式・申告不要の条件・納税方法の選択欄の有無は市区町村ごとに異なります。ご自身の手続きについては、お住まいの市区町村の税務担当窓口または税理士にご確認ください。