確定申告ライン・住民税・増える税金を1分で見える化

副業がアルバイトの場合の税金
——2か所給与の年末調整と確定申告【2026年版】

公開日:2026年8月11日 | 最終更新:2026年8月16日

副業がアルバイト(給与)の場合の20万円ルールとは、給与を2か所以上から受けていて給与の全部が源泉徴収の対象となるとき、年末調整されなかった給与の収入金額と各種の所得金額(給与所得・退職所得を除く)との合計額が20万円を超える人は確定申告が必要になる、という取扱いです(国税庁タックスアンサーNo.1900)。業務委託の副業と違って経費を引く前の「収入金額」で判定されるのが最大のポイントです。この記事では、2か所から給与をもらうと税額の計算がどう変わるのか、なぜ「アルバイト年収100万円までは非課税」が副業では成り立たないのかを、国税庁の一次資料に基づいて整理します。

この記事の要点
  • 副業がアルバイトなら判定基準は「収入金額」が年20万円超。経費も給与所得控除も引かないため、月1万7千円程度の給与でラインに達する(国税庁No.1900)
  • 年末調整は本業1か所だけ。副業先の給与は税額表の乙欄で源泉徴収され(令和8年分以降は社会保険料等控除後の月額105,000円未満なら3.063%)、正しい税額は確定申告で精算する(国税庁No.2520)
  • 給与所得控除は2か所の支払金額を合計して1回だけ適用される(国税庁No.1410)。さらに住民税は本人の希望で普通徴収を選べないため、副業分も本業の給与から天引きされる(東京都主税局)
この記事でわかること
  1. 結論:副業がアルバイトなら「収入20万円超」で確定申告
  2. 主たる給与と従たる給与——甲欄と乙欄で天引き額が変わる
  3. 年末調整は1か所だけ。だから自分で精算する
  4. 「アルバイト100万円までは非課税」が副業では成り立たない理由
  5. モデルケース:本業450万円+副業アルバイト100万円
  6. 住民税は「自分で納付」を選べない
  7. 確定申告のときに用意するもの・つまずきやすい点
  8. まとめ

結論:副業がアルバイトなら「収入20万円超」で確定申告

先に結論を書きます。副業がアルバイト・パートなど給与で支払われている場合、確定申告が必要かどうかは源泉徴収される前の収入金額(総支給額)で判定します。国税庁タックスアンサーNo.1900は、確定申告が必要な給与所得者として「給与を2か所以上から受けていて、かつ、給与の全部が源泉徴収の対象となる場合において、年末調整されなかった給与の収入金額と、各種の所得金額(給与所得、退職所得を除く。)との合計額が20万円を超える人」を挙げています。

ここが業務委託の副業との決定的な違いです。業務委託やネット収入は雑所得なので「収入−必要経費=所得」が20万円かどうかで判定しますが、給与には必要経費を差し引く仕組みがないため、もらった金額そのままで判定されます。時給1,200円で月14時間ほど働けば年20万円を超えます。

副業の形態20万円の判定基準経費・控除の差引き
アルバイト・パート(給与)収入金額(総支給額)差し引かない
業務委託・ネット収入(雑所得)所得金額(収入−必要経費)必要経費を差し引く
通勤手当のうち非課税となる部分は給与の収入金額に含まれません。判定に使うのは源泉徴収票の「支払金額」欄の数字です。20万円ルール自体の詳しい仕組みは副業の20万円ルール完全ガイドで解説しています。

なお、No.1900には申告が不要になる例外の注記もあります。給与所得の収入金額から、雑損控除・医療費控除・寄附金控除・基礎控除以外の各所得控除の合計額を差し引いた金額が150万円以下で、かつ各種の所得金額(給与所得・退職所得を除く)の合計額が20万円以下の人は、申告の必要がないとされています。本業の給与がそれなりにある会社員には基本的に当てはまらない例外ですが、本業も短時間勤務で年収が低い場合には該当することがあります。

主たる給与と従たる給与——甲欄と乙欄で天引き額が変わる

結論として、2か所から給与をもらうと、片方は主たる給与、もう片方は従たる給与として扱われ、毎月の源泉徴収の計算方法が変わります。国税庁タックスアンサーNo.2520によると、「給与所得者の扶養控除等申告書」を提出した勤務先の給与が主たる給与、それ以外の勤務先の給与が従たる給与です。この申告書は同時に2か所以上へ提出することができないため、通常は本業が主たる給与になります。

そして「主たる給与を支払う場合の源泉徴収税額は、税額表の『甲欄』で求めます」「従たる給与を支払う場合の源泉徴収税額は、税額表の『乙欄』で求めます」とされています。乙欄は各種控除を織り込まない高めの区分です。国税庁が公表している令和8年分以降の乙欄の計算方法は次のとおりです。

その月の社会保険料等控除後の給与等の金額源泉徴収税額
105,000円未満その金額の3.063%
105,000円以上740,000円以下税額表(月額表・乙欄)による
740,001円以上1,710,000円未満259,200円+740,000円超の部分の40.84%
1,710,000円以上655,400円+1,710,000円超の部分の45.945%

出典:国税庁「月額表の乙欄を適用する給与等に対する税額の電算機計算について(令和8年分以降)」。3.063%が適用される上限は令和8年分から105,000円に引き上げられています(令和7年分以前は別の金額でした)。副業アルバイトの月収がこの範囲であれば、天引きされるのは3.063%だけ、ということになります。

乙欄で天引きされる3.063%は、多くの会社員の実際の負担率より低い水準です。本業を含めた所得税の税率が10%なら、住民税10%と合わせて負担は20%前後になります。「毎月ちゃんと引かれているから精算済み」と思っていると、確定申告で不足分をまとめて納めることになります。
扶養親族がいて従たる給与からも控除を受けたい場合は、副業先に「従たる給与についての扶養控除等申告書」を提出します。提出すると乙欄の税額から扶養親族等1人につき1,610円が控除されます(国税庁No.2520)。ただしこの申告書は、主たる給与だけでは控除しきれない場合に使うものです。

年末調整は1か所だけ。だから自分で精算する

結論として、副業先で年末調整をしてもらうことはできません。国税庁タックスアンサーNo.2520は「原則として従たる給与については年末調整できませんので、所得者本人が確定申告することにより所得税および復興特別所得税の精算を行う必要があります」と明記しています。

年末調整は、その勤務先が支払った給与だけを対象に、扶養控除や生命保険料控除などを反映して1年分の税額を確定させる手続きです。副業先の給与は本業の年末調整に含められないため、2か所を合算した正しい税額は誰も計算してくれません。これを自分で確定させるのが確定申告です。

令和8年分(2026年分)の所得についての確定申告期間は、原則として2027年2月16日(火)から3月15日(月)までです。申告の手順は副業の確定申告のやり方|スマホ・e-Taxで完結する5ステップで解説しています。

「アルバイト100万円までは非課税」が副業では成り立たない理由

結論として、給与所得控除は勤務先ごとに使えるものではなく、2か所の支払金額を合計して1回だけ適用されます。国税庁タックスアンサーNo.1410は給与所得控除額の速算表を示したうえで、「同一年分の給与所得の源泉徴収票が2枚以上ある場合には、それらの支払金額の合計額により上記の表を適用してください」としています。

給与等の収入金額(2か所以上なら合計額)給与所得控除額
1,900,000円まで650,000円
1,900,001円〜3,600,000円収入金額×30%+80,000円
3,600,001円〜6,600,000円収入金額×20%+440,000円
6,600,001円〜8,500,000円収入金額×10%+1,100,000円
8,500,001円以上1,950,000円(上限)

出典:国税庁タックスアンサーNo.1410「給与所得控除」(令和7年分以降)。この表を見ると、「アルバイト年収100万円なら給与所得控除と基礎控除で税金はかからない」という一般によく言われる話が、副業では成り立たないことがわかります。最低保障額(令和8年度税制改正後は74万円)が使えるのは合計収入が220万円までの人だけで、本業の給与が450万円ある人はすでに控除枠の上のほうを使っているためです。

本業450万円の人が副業で100万円を受け取ると、合計550万円になり給与所得控除は134万円から154万円へ20万円しか増えません。つまり副業収入100万円のうち80万円が、そのまま課税対象の所得に上乗せされます。

さらに所得税の基礎控除は合計所得金額に応じて段階的に決まるため、区分をまたぐと基礎控除自体が減る点にも注意が必要です。令和8年度税制改正(令和8年12月1日施行)により、令和8年分以後の基礎控除は引き上げられました。国税庁「令和8年4月 源泉所得税の改正のあらまし」によると、令和8年分・令和9年分の基礎控除は合計所得金額489万円以下で104万円、489万円超655万円以下で67万円、655万円超2,350万円以下で62万円です(2,350万円超は改正なし)。

改正前(令和7年度改正時点)は、合計所得132万円以下95万円/336万円以下88万円/489万円以下68万円/655万円以下63万円/2,350万円以下58万円という5段階でした。改正で段差の位置が489万円と655万円の2か所に集約され、489万円以下は一律104万円になっています。なお104万円は令和8年分・令和9年分だけの特例で、令和10年分以後は合計所得132万円超が一律62万円に戻る予定です。

モデルケース:本業450万円+副業アルバイト100万円

本業の給与収入450万円の会社員が、副業のアルバイトで年100万円(月約8.3万円)を受け取った場合の税負担の増加を、令和8年分の制度で簡略に試算します。社会保険料は本業分65万円のみ(副業先では社会保険に加入しない前提)、扶養親族なし、その他の控除は考慮しません。

項目本業のみ本業+副業アルバイト100万円
給与収入の合計4,500,000円5,500,000円
給与所得控除1,340,000円1,540,000円(+20万円のみ)
給与所得(=合計所得金額)3,160,000円3,960,000円
基礎控除(所得税・令和8年分)1,040,000円
(489万円以下の区分)
1,040,000円
(489万円以下のまま)
社会保険料控除650,000円650,000円
課税所得(所得税)1,470,000円2,270,000円(+80万円)
所得税+復興特別所得税75,000円132,200円(+57,200円)
住民税・所得割(10%)+約80,000円
税負担の増加(合計)約137,200円

副業収入100万円に対して、増える税金は約13.7万円(実質約13.7%)です。ポイントは、副業収入は100万円増えたのに課税所得は80万円しか増えていないこと。給与所得控除が20万円分だけ増えたおかげです。この例は令和8年度税制改正の恩恵を受けています——改正前の基礎控除だと合計所得が336万円から396万円に上がる過程で控除が88万円から68万円に下がり、課税所得は100万円増えて税負担は約16.6万円になっていました。改正後は489万円以下が一律104万円になったため、この段差を踏まずに済んでいます。

一方、副業先で毎月天引きされているのは乙欄の3.063%だけです。月8.3万円なら年間で約3万600円にとどまるため、確定申告では所得税の不足分として約2.7万円を納付することになります。住民税の約8万円は、翌年度に本業の給与から天引きされる形で負担します。

この試算は仕組みを理解するための簡略な例です。実際の税額は社会保険料の額、扶養親族の有無、生命保険料控除・iDeCoなどの各種控除で変わります。副業先で社会保険(健康保険・厚生年金)の加入要件を満たす場合は勤務時間や企業規模に応じて加入手続きが必要になり、手取りへの影響も変わります。加入要件については勤務先または年金事務所にご確認ください。
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住民税は「自分で納付」を選べない

結論として、副業がアルバイト(給与)の場合、住民税を「自分で納付(普通徴収)」に切り替えることはできません。確定申告書第二表の住民税に関する欄は「給与、公的年金等以外の所得に係る住民税の徴収方法」を選ぶものなので、給与である副業の分は最初から対象外です。

東京都主税局の説明では、「地方税法では、所得税を源泉徴収している事業主については、従業員の個人住民税を特別徴収しなければならないことになっています」とされ、さらに「給与所得者の個人住民税は原則として特別徴収の方法により徴収しなければなりません。したがって、従業員の希望により普通徴収を選択することはできません」と明記されています。「アルバイトやパートであってもこの要件に当てはまる場合には、特別徴収の対象となります」ともあります。

そして2か所以上から給与を受けている場合は、「原則として、主たる給与の支払を受けている勤務先で特別徴収を行います」とされています。つまり、副業アルバイト分を含んだ住民税が、本業の給与から天引きされることになります。

この結果、本業の会社に届く特別徴収税額の通知書には、副業分を含んだ所得と税額が記載されます。経理担当者が前年との差を見て「給与に対して住民税が多い」と気づく可能性は否定できません。「絶対に会社に知られない方法」は存在しません。副業がアルバイトの場合は、就業規則を確認したうえで、必要なら事前に会社へ相談する前提で考えるのが安全です。
副業が業務委託などの給与以外の所得であれば、第二表で「自分で納付」を選ぶ余地があります。その具体的な書き方と限界は確定申告書 第二表「自分で納付」の書き方で解説しています。

確定申告のときに用意するもの・つまずきやすい点

結論として、必要なのはすべての勤務先の源泉徴収票です。給与の支払者には源泉徴収票の交付義務があるため、副業先からも受け取れます。年の途中で辞めた短期のアルバイトも対象です。

つまずきやすいのは次の3点です。

なお、申告しないまま放置した場合には無申告加算税と延滞税が加算されます。給与は勤務先から市区町村へ給与支払報告書が提出されるため、副業アルバイトは特に発覚しやすい形態です(副業を申告しないとどうなる)。

まとめ

この記事は2026年8月時点の制度に基づく一般的な解説であり、個別の税額や申告の要否を保証するものではありません。掲載した試算は前提を単純化した目安です。副業の可否は勤務先の就業規則によります。実際の申告・納税については所轄の税務署、住民税については市区町村の窓口、または税理士にご確認ください。